「なにこれ……?」 近藤清美はバッグから取り出した包みを開け、その中身に驚いた。
会社の忘年会で毎年恒例のビンゴ。百名以上いる社員に対し、景品は先着二十個。一等のブルーレイレコーダーが欲しかったが、当たったのは末等の小さな袋だった。どうせたいしたものじゃないだろうと、開けずにバッグへしまった。
帰宅し、着替えて化粧を落とし、一息ついてからその景品を手に取った。 手のひらほどの大きさのそれは、初めて目にする物体だった。 パッケージには「ローター」と書いてあった。
+ + +
「まさか清美に当るとはね。なんか得した気分」
二時間後、部屋へやってきたユージは、景品のローターを手にニヤついた。
「景品って誰が決めたの?」
「オレと課長」
「じゃあこのローターは……」
えへへ、とユージが頭を掻いた。
「ユージのエッチ。私イヤよ、こんなの使うの」
「まーまーせっかくもらったんだから、試してみようぜ」
ニヤニヤしながらユージはローターを取り出し、説明書を見ながら付属の乾電池をセットした。
ユージは清美と同じ会社の同期だ。清美は経理部、ユージは総務部に所属し、同じフロアで働いている。
ふたりが付き合っていることは、社内の誰も知らない。なぜならユージは既婚者だから。不倫していることがバレたりしたら、ユージの出世にも影響するどころか会社にいられなくなってしまうかもしれない。
「清美……ほら服脱いで」
ユージは親指より一回り大きめのローターを手に、清美のほうへ近づいてきた。
清美はどうしていいかわからず、じっとユージの顔色を伺っていた。
「よし。じゃあバスルームへ行こう」
「え?」
「これ防水だから。ほら早く」
そう言うと、ユージは清美を促しつつさっさと裸になった。
清美は戸惑いながら、ユージのほうをちらっと見た。ユージのペニスが勃起しているのを清美は見逃さなかった。
(キスもしないうちから勃つなんて……そんなに楽しみなの……?)
+ + +
「あん……」
慣れない刺激に、つい声が漏れてしまう。
さっきのローターがブーンと小さなモーター音を立てて震えている。振動しているローターを持ち、ユージは清美の左の乳首にそっとあてがった。
お湯を張った浴槽の中、清美はユージに向き合っている。
マンションの狭い浴槽では、重なるようにしなければふたりで一緒には入れない。先に入っているユージにまたがるような体勢で入ると、ちょうどユージのそそり立ったペニスと清美の襞が触れ合ってしまう。
「対面座位♪」
「やだもう……」
「イヤじゃないだろ。もうこんなヌルヌルになってるくせに」
そう言うと、ユージは自分のペニスを清美の襞に擦りつけた。
「はぁっ……ん……」
「あんま声出すと、隣に聞こえちゃうぞ」
そう言いながら、ユージはローターで清美の体を撫でる。敏感なところを知り尽くしたユージの指は、ローターという武器を装備したことで、さらに清美を高みへと導いていく。
「ああああんっ!」
上半身から下半身へと冒険していたローターが、清美のクリトリスを探し当てた。あまりの刺激の強さに、清美は耐えきれず喘いだ。
「まだ挿れてもいないのに……もうイっちゃいそう?」
清美は無言でこくん、とうなずいた。
「じゃあ……」
+ + +
「んぐっ……」ユージはキスで清美の口を塞いだ。
滑らかな舌が清美の口腔内で生き物のように蠢(うごめ)く。ユージは清美の感じるポイントを知り尽くしている。だから清美はいつも、ユージの指や舌で何度もイカされそうになる。
だけどいつも、ユージはイク寸前でじらしを入れる。キスを仕掛けたりフェラチオをさせて、清美の集中を拡散させる。清美は無我夢中でユージの攻撃に応えようとする。ユージの舌に吸い付いてみたり、咥えたペニスを飲み込もうとする。
感じている最中に何かが口の中に挿入されると、口腔内がヴァギナになってしまったかのような錯覚を覚える。口の中にも性感帯はあると清美は思う。上の口と下の口。両方でペニスを咥えたらどんなに気持ちがいいだろう。清美は想像する。
クリトリスがだんだん痺れてきた。ローターのヴァイブレーションが容赦なく清美を襲う。頬が紅潮し、目の焦点が合わなくなってくる。息が荒くなり、もう喘ぐこともできない。ハッハッと浅く速い呼吸を繰り返し、清美は“その時”を待つ。
「オレもやばいわ。そろそろイッていい?」
清美は返事の代わりに小さくうなずいた。湯の中でもわかるほどヌルヌルと滑りがよくなった襞を、ユージのペニスの先端が掻き分ける。清美の洞窟の入口が、ユージのペニスをやすやすと飲み込んだ。
クリトリスを押さえつけていたローターの振動が、ユージのペニスを介して清美のヴァギナまで伝わる。今まで味わったことのない刺激に、清美は一気に上り詰めた。
「いくっいくっ!あ、あ、あああん……」
ビクビクと清美の中が痙攣し、ユージのペニスを不規則に締め付けた。ユージは満足げにそのまま清美の中にぶちまけた。
+ + +
「……本当に……やらなきゃダメ?」
「いいじゃん。1回だけ! バレないようにするからさ」
オフィスの非常階段で、ユージは清美に懇願した。彼の手には、先日のローターが握られていた。
(会社でこんないやらしいこと……)
戸惑っているはずなのに、清美のあそこはもう期待で熱くなっている。
今までもそうだった。誰もいない会議室でこっそりキスしたり、皆が帰ってしまった後のオフィスで愛し合ったり、スリルがより快感を強めることを清美は知っていた。社内不倫だからこそバレたらまずいのに、ユージはどんどんエスカレートしている。
「……1回だけだよ。私がやばそうな顔したら、すぐに止めてよ」
「任せろ。もしヤリたくなったら、すぐメールしろよ」
「……仕事中なのにそんなの無理だって」
「だーいじょーぶさ。今日は土曜日だから社員もほとんどいないし」
そう言うと、ユージはローターを清美に手渡した。
清美は手の中に隠すようにローターを握り締め、非常階段のドアを開け化粧室へ移動した。
+ + +
(ああもう……こんなに濡れるなんて……はずかしい)
トイレの個室でショーツを脱いだ清美は、赤面しながら「おりものシート」を剥がした。
社内で時折スリルを味わっている清美は、万が一濡れても平気なように、おりものシートをショーツにセットする習慣ができた。
ユージと付き合うようになってから、清美は濡れやすくなった。ユージとキスするだけで、清美のあそこは準備オッケーになってしまう。早くユージのペニスを食べたいと、涎を垂らしてしまう。
(どっちにセットしたらいいのかしら……?)
いざローターを仕込む段階で、清美は迷った。クリトリスに触れるよう大陰唇で挟み込んでショーツで押さえるか、ヴァギナの中に入れるか。
(挟んだままじゃ、座れないか)
一瞬で答えは出た。清美はショーツを膝まで下ろしたまま中腰になり、タンポンを入れるようにローターを挿入した。
(んっ……ふぅ)
すでに濡れているヴァギナは、つるりとローターを飲み込んだ。
+ + +
化粧室を出て、自分のデスクへと歩き出す。生理のときのタンポンとは違い、ローターは硬さと若干の重みをもって、清美のヴァギナにその存在感を主張している。
(なんか歩きにくい……)
さっき拭いたばかりなのに、また濡れはじめている。滑りがよくなるとローターが落下してしまうのでは……と清美はヴァギナの入口に力を入れる。
そっと自分の席につき、清美は何事もなかったかのような顔で仕事を再開した。入金伝票の内容をパソコンの画面に打ち込みながら、背後のユージの様子をうかがう。彼のポケットの中にはローターのリモコンが入っている。いつスイッチを入れられるのかと緊張するだけで、清美のヴァギナはひくついてしまう。
「近藤くん、これも追加しといて」
課長が伝票の束を清美の机に置いた。はいと返事をして課長のほうに顔を向けた瞬間、無機質なローターが暴れ出した。
「ひっ!」
「どうした?」
「い、いえ……何でもありません」
清美は平静を保とうと唇を噛みしめる。間断的にローターは震えだす。スイッチがオフになっている間は耐えられるが、振動しているときは意識がヴァギナへ集中してしまい、とてもじゃないが仕事にならない。
(ユージってば……もう……)
快感を堪えながらユージのほうを見る。ユージはニヤニヤしながら清美の様子を見ている。清美は最後の力を振り絞り、社内メールで「非常階段へ来て」とユージに伝え席を立った。
+ + +
席から非常階段までの距離は。ほんの十数メートル。清美は前かがみでよろよろと廊下を歩く。愛液が溢れすぎて、おりものシートの脇から太腿に漏れているのがわかる。制服のスカートにも染み出てしまったかもしれない。
「近藤? どうした? 大丈夫か?」背後から聞き慣れた声。
ここは社内。怪しまれないように“先輩”の顔をしたユージがふらついている清美を支えた。わざとらしい。自分がこんな風にしたくせに、と清美は思う。
(はうんっ!)
歩きながら、ユージがリモコンのスイッチをONにした。清美の中でローターが暴れ出す。思わず足を交差しローターの振動を押さえつけようとするが、そのくらいでパワフルなローターは鎮まらない。
「……いじわ……る……」
清美は懇願するようにユージを見る。無表情を装っているが、唇の端が薄く笑っている。
ユージに体重を預けたまま、清美は非常階段へ辿りついた。
「すごいことになってんな」清美のスカートをめくったユージが言った。
「だってぇ……こんなことしたら……感じるに決まってんじゃん」
「課長が心配してたぞ」
「やだぁ……」
人目につかないのをいいことに、ふたりは急いで下半身を露出させた。ユージのペニスもいつもより膨張しているように見える。
「ねぇ……早く……ちょうだい……」
「じゃあ後ろ向いて」
素早く清美は壁のほうを向き、ユージのほうへ尻を突き出す。かすかにブーンというモーター音が清美の股間から聞こえる。
ユージはローターを出さず、そのまま自分のペニスを押し込んだ。
「あああんっ!」思わず声をあげてしまう。
ローターが子宮口まで到達し、予想外の振動が清美の全身を震わせる。
(もっと私を玩具にして……)背徳の行為に乱れつつ、清美は歓喜のオーガズムを迎えた。
TAKE3~私は貴方のオモチャなの(清美の場合)~ 完
官能ノベル『TOYに恋して』文・栗かのこ
【プロフィール】
官能小説家。別ペンネーム(島田佳奈)では、著書6冊・電子書籍28冊を刊行している女豹ライターでもある。
エロスの世界に造詣が深く、酒の席におけるシモネタ談義の饒舌さは、男性陣の酔いも醒ますほど。
公式サイト(島田佳奈):http://shimadakana.net/
公式ブログ(栗かのこ):http://blog.livedoor.jp/shimadakana-kurikanoko/













