「舐めていい?」他のところは訊かずに舐めるくせに、あそこを舐めるときだけミツルは必ずたずねてくる。早く舐めて。心の中では激しく求めているくせに、口ではつい「恥ずかしい」などと言ってしまう。イエスともノーとも答えていないうちに、ミツルの指がワレメに滑り込んでくる。
「こんなに濡れちゃって。可愛い」愛液が溢れ、ミツルの指がくちょくちょと音を立てる。ヴァギナの入り口を丸くなぞったかと思うと、充血したクリトリスをいきなり弾いたりする。予測のつかない指の経路に、私はいつも感じてしまう。指と舌先で執拗にいじられているうちに、私は1回目のオーガズムを迎える。するとミツルは満足げに上体を起こし、ずっしりと私の上に覆いかぶさってくる。
敏感になっているヒダをミツルの亀頭がなぞる。「あんっ」思わず声が漏れてしまう。
ミツルのペニスは太くて硬い。長さはそれほどでもないのだが、中に入ってくる瞬間、メリメリとヴァギナが拡張されているような感覚になる。痛くないように、ミツルは挿入の前にたっぷりとワレメをペニスでなぞる。俗にいうスマタの要領でペニスがにゅるにゅるとワレメに滑り込まれると、まだ挿れてもいないのにあそこがヒクついてくる。
「マユコの下のお口が『おちんちん食べたい』ってパクパクしているよ」
「やだぁ」
恥ずかしがっても体は正直だ。ミツルは口の周りに付着した私の愛液を手の甲で拭うと、スマタをしながらキスをしてくる。ミツルは舌を口にねじ込んでくる。同時にペニスをヴァギナの入り口に当て、ずぶずぶと差し込んでいく。
上下の口を塞がれる感覚。思い出したくて、私は自分の指を2本口の中に差し込み、足の間に挟んでこすっていたディルドを静かに挿入した。ディルドは硬さがあるせいか、見た目より太く感じられ、それはまるでミツルのペニスのようだった。だけど長さはタカシと同じくらいあるので、奥に当たる感じはタカシのペニスを連想させた。
まるで、ミツルのセックスを思い出しながらタカシに犯されているような気分。それは私にとって究極の倒錯であり、格好の妄想だった。
「あん……ごめんなさい……」
タカシはここにいないのに、私はなぜか謝っていた。
ミツルとのことは、タカシにはバレていないはず。だけどこのディルドを自分の中に迎え入れた瞬間、もしかしたら勘付かれているのかもという気がしてきた。
ディルドは生身のペニスにはかなわない。だけどこうやって独りの部屋で快楽に浸るには、充分過ぎるほど高みに導いてくれる。
妄想だけなら自由だ。生命を持たないディルドは、誰のペニスにも自在に変身してくれる。ミツルとの泳ぐようなセックスと、タカシとの決まりきったセックス。セックスだけを基準にしたらミツルに軍配が上がる。
だけどミツルは既婚者だ。いくら好きだの可愛いだの言われても、セフレ以上の関係になることはない。
それに比べ、タカシとの付き合いには「愛」がある。未来もある。ただひとつの不満がセックスだった。
(こういう満たし方もあるってことか……)
タカシがどんな気持ちでこのディルドを私にプレゼントしたのかはわからない。陰で浮気しているかもしれないことに気付いたのかもしれないし、純粋に「寂しくないように」気遣ってくれたのかもしれない。
生身のペニスを味わったらそれは浮気だけど、ディルドと愛し合うのは浮気じゃない。無機質のそれは、疼くあそこを満たすには充分なほど精巧な形をしていて、ほどよい硬さは実物以上の刺激をくれる。
ディルドを持つ手の動きがだんだんと激しくなる。タカシの腰の動きを思い出しながら、私はディルドで奥のほうを突き上げた。
そのとき電話がなった。ディルドを動かす手が止まった。
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官能ノベル『TOYに恋して』文・栗かのこ
【プロフィール】
官能小説家。別ペンネーム(島田佳奈)では、著書6冊・電子書籍28冊を刊行している女豹ライターでもある。
エロスの世界に造詣が深く、酒の席におけるシモネタ談義の饒舌さは、男性陣の酔いも醒ますほど。
公式サイト(島田佳奈):http://shimadakana.net/
公式ブログ(栗かのこ):http://blog.livedoor.jp/shimadakana-kurikanoko/












